蟻の帝国 ― 2006年07月03日 20:01

ベランダで水遣りをしていると、足元がむずがゆい。何だと思ったら蟻が這い登ってきていた。
最近ベランダでは、よく蟻にお目にかかる。ベランダガーデニングを始めた当初はいなかったが、3年目くらいから爆発的に増えた。今ではいたるところに「蟻の通り道」ができて、いつみても、黒くてちいさい姿が歩いている。
他にも数々の害虫におめにかかるわがベランダで、ナンバーワンの賢さと抜群の団結力で生き残り、団体で帝国を築いてしまったのがこの蟻たちなのである。
和室の入り口のところにおいている藤の鉢植えに巣ができたのが最初だった。
植え替えをせずに3年、4年とほおっておいたら巣はどんどん大きくなり、藤の枝は蟻の生活の場となった。白くて小さい「家畜」のようなものを飼い、日中せっせと世話をしている。
株もとの巣の出入り口のところは絶えず行き交って忙しそうな姿がある。
ためしに枝をこぶしでたたいてゆらしてみたら、家畜の世話をしていた蟻たちがいっせいに全速力で下まで駆け下りてきた。
突然の揺れに危険を感じたのだろうか。それとも「退却命令」でもくだったのだろうか。
無精をして南側のベランダの掃除を半年ほどさぼったことがある。すると、すのこの下を、蟻がやけに活発に出入りするようになった。
気が向いてすのこをめくってみたら、そこには蟻の一大帝国が築かれていた。
寄せ集められた枯葉が整然と並び、その合間にはたくさんの白くて小さい卵とさなぎ、それをかいがいしく世話する”育児担当”たち・・・
いい陽気の春のある日に和室の戸を一日中あけておいたら、蟻が入って来るようになってしまった。畳の上に「通り道」を作ってせっせと行き来している。
「部屋には何もないぞ」と言ってみたが聞いてもらえず、どんどん入ってくる。仕方なく、申し訳ないと思いながらも足の裏で踏み潰し、大量にお亡くなりになってもらった。すると・・・
ぴたっとはいってこなくなった。「大量の仲間が死んだから危険だぞ」という知らせでも伝わったのだろうか。
見ていて思うのは、あきらかにお互いに意思の疎通をし、情報伝達を行っているということだ。そうでなければこのような社会は築けまい。
いったいどういうふうに会話をしているのだろう。忙しく行き来する中で「口コミ」で伝わっていくのだろうか。それともテレパシーのようなもので、遠方の仲間の様子が一瞬にして巣の中まで伝わるのかもしれない。
だとしたら、人間も顔負けの高度な技術をもっているに違いない。我々がパソコンで情報収集をし、携帯で連絡を取り合っているのと変わらないではないか。
蟻たちの世界も情報化社会なのだろうか。どんな仕組みになっているのか?身分の違いはあるのだろうか。できるものなら蟻になって、帝国の一員として働いてみたい・・・などと果てしない空想をしてしまう今日このごろである。